北海道新幹線開業では地価の変動は一部地域に限られた

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北海道新幹線開業では地価上昇は限られた地域で起きた

 

北海道新幹線は新青森と札幌を繋ぐ予定の新幹線で、今年2016年3月26日に新青森から新函館北斗までの区間が開業しました。
沿線各地で新幹線開業のイベントが行なわれ話題になりました。
直接通過はしませんが函館駅においても北海道新幹線開業イベントとして「はこだてグルメガーデン」という開業記念イベントを2016年7月1日(金)~8月31日(水)までの期間行なう予定となってるなど北海道全体がこの北海道新幹線開業を祝福しています。
しかしこの北海道新幹線をもってしても北海道の市町村の地価に与える影響は限定的なものでした。

 

2016年の地価公示において商業地価格の平均変動率は札幌市では6%上昇しました。
札幌市は外国人観光客の増大とマンションなどの住宅需要の高さにより3年連続で上昇しており、その上昇幅も広がっています。
札幌市の中心商業地は2003年の再開発以降札幌駅前地区に移り変わりつつあり、2015年の地価公示においてそれまで中心商業地であった大通駅前の4丁目プラザを押しのけ最も高くなりました。
また、大通エリアに存在する商業施設と札幌駅前エリアの結びつきを強化して大通地区と札幌駅前地区を一体化した札幌市の中心商業エリアとする動きもあります。

 

 

あまり新幹線の恩恵を受けられなかった函館市

 

これに対して函館市は2016年の地価公示において商業地価格の平均変動率が0.6%下落となってしまいました。
元々下落が続いていた地域で下落幅は縮小している為新幹線効果がなかったわけではありませんが、一部地域に限られた不動産投資しか活性化させる事は出来ませんでした。
ホテルや旅館のリニューアルやリブランドについては函館市内においてJR函館駅前やベイエリア、湯野川温泉エリアを中心に活発に行なわれています。
京王電鉄の子会社が閉館したホテルをリニューアルしたり、道内で大手観光グループとして有名な野口観光も既存ホテルを「HAKODATE海峡の風」としてリニューアルオープンしています。

 

このように道内外の業者は既存物の再利用、再開発に関しては積極的な投資を行なっていますが、新規ホテル、旅館への投資に関しては消極的になっています。
その為宿泊施設の総数があまり変化をしておらず、市内に存在するホテルは常に需要過多の傾向になっており、ホテル供給が追いついていません。
何故このような状況になっているのかというと、函館市と北海道新幹線停車駅の位置関係に大きな要因があります。
函館市には北海道新幹線の停車駅がありません。
「新函館北斗駅」という函館という名称の入っている停車駅はありますが、これは北斗市にある駅であり函館駅から向かおうとすると車で行けば約30分、電車で向かっても約15分と函館駅から新函館北斗駅への接続はあまり良くありません。

 

更に新函館北斗駅から札幌や小樽方面に観光しようとすると函館市は通過しないどころか、逆方向になってしまう為新函館北斗駅で降りる観光客もその後の観光先によっては函館市のホテルで宿泊するのは非効率的になってしまうのです。
これでは北海道という括りで北海道新幹線により観光客の増加が期待できるとはいっても、宿泊客がどれほど見込めるかの予測がつきにくくなってしまうので積極的な投資に結びつかないのです。
この及び腰となってしまった新規ホテルへの投資が災いして、例え新規ホテルに投資していたとしてもそのオープンが新幹線開業に間に合わなくなってしまっているケースもあります。

 

 

北海道新幹線の開業は今年3月で終わりではなく2030年に新函館北斗駅から札幌への延伸が予定されています。
今回の新幹線開業と違い2030年には道の南部だけではなく道の中央部にかけて新幹線が通ることになるので、北海道全体の環境整備が期待されます。

(参考:住宅新報2016年5月17日号)

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